登録情報
|
が、これまでの限られた世界から出て、新たにメイドや使用人、同世代、同性、そして異国からの移住者という、立場も出身も考え方も異なる大勢の人々のなかで暮らすエマ。ここにきて改めて、使用人仲間や、既成概念にとらわれていない上流階級の年上の女性から見ても、彼女が十分に有能であり魅力的な女性であることが丁寧に描かれていきます。
周りからは、何かわけありに違いない、と思われてはいますが、それとは別に彼女の能力と人柄は認める使用人たちの気質も嬉しいお屋敷です。
ついでに、エマの資質を見抜いてここまで鍛え上げたのは故ケリー先生ですから、先生の教育者としての素晴らしさも実感。
めったに表に出さない彼女のウィリアムへの想いが、実は簡単には忘れられない深いものであったことが垣間見える印象的なエピソードもあり、理想然として遠い存在だった彼女のことが、身近に感じられるとともに応援したくなりました。
エマとの仲を家族中から否定されたウィリアムも、上流階級という壁に人生をかけた長期戦で何やら爆弾を仕掛けていく決意と行動に、目が離せません。
欲をいうなら、ミセス・トロロープの登場は、その後の物語の展開がいささか安易に想像できます。次巻以降に読者の予想を上回るどんでん返しがしこまれていることを期待します。
また慎み深い英国女性のメイド・エマが主人公であるため、全体に静かな流れですが、エマの感情の発露に向けて、使用人文化の描写が花を添えます。
他方、エマの想い人ウィリアムも革新へ向けての決意表明。
主人ケリーを亡くし恋には破れ、悲しいエマと心に穴を抱えたウィリアムは今後どうなっていくのか。本書末の展開が次巻への期待を煽ります。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|