事情があって一度は手放したのだけど、また欲しくなる作品の一つ。そんな評価も決して過分ではないと思う。
小説類を並べる書架に混ぜて置いても決して見劣りせず、むしろ最近の内容的に薄っぺらなSF崩れ小説などより遙かに上質で奥の深い恋愛小説的ストーリーを辿って書かれている。
また、単行本8巻9巻で描かれるサイドストーリーは本編を補完するものではなく、むしろ本編を喰う位の重厚なストーリーとなっているものもあった。
作品を紡ぎ出すと言う作業を俯瞰的に考えるならば、漫画家は小説家よりも遙かに多大な労力を要するだけでなく、ストーリー以外の部分での表現力として人物描写を線で描かねばならない。その『画を読む』事が読者側にも要求され、世代によって、また人生経験によって様々な事を思うに至るであろう事は容易に想像できる。
年齢を重ねるごとに改めて読み返してみて、その時に自分が何を思うか?典型的な嫌キャラの子爵と並ぶ年齢に立った時に為に。その時自分がどう思うかの為に。書架に置いておきたいものだと思えた近年珍しい類の作品です。