英国妖異譚最終章。面白かったけれど、これで終わったと言われて納得できる人はいないだろうという20巻。年内に番外編が出て、一年後には大学編がスタートするという話なので、終わったわけではないけれど。
作者の興味と読者の興味は違うところにあるのかも…と思い始めたのはいつだったか。どの巻も分厚い文庫なのだが、残りページが少なくなってもいっこうにクライマックスになる様子はなくて、登場人物が薀蓄を傾けていることが多かった。そしてほんの数ページで山場になり終了。私は聖杯伝説やイギリスの伝承はよく知らないので、ここに書かれていることがどこまでフィクションでどこまで資料に基づいているのか判断ができない。だから薀蓄の部分が長くなると、創作としてそれはどうよ、と思うのだが、その部分が楽しくないわけじゃない。ユウリとシモンとアシュレイの三角関係+オスカーの横やり+隆聖の影響力、という人間関係で引っ張りつつ、全然進展させず、ひたすら引っ張るという、その手腕は上手い。ついつい20巻まで引っ張られてしまった。そういうふうに読んでいるので、ときどき読み飛ばしている部分もある。意外と20巻全部にいろいろ伏線が仕込んであったのかなあと、ちょっと思う。これまでと同様、作者があんまり熱心じゃない人間関係の行く末が気になって、続編を読んでしまいそう。
あ、でも、ユウリが自分の義務を果たすために、いつも困難な道を選んで重い荷物を背負って淡々と歩いていく姿はけっこう好きだ。天界の神々と地上の友人達に愛されている無垢な存在。彼岸と此岸の狭間にいるところがユウリの魅力だと思う。