久しぶりにも程があるナンシー・スプリンガーの翻訳が、ホームズパスティーシュとは意外。しかもラノベレーベルから出るとは。(とはいえ、ルルルの翻訳もの作品選びは侮れない)このシリーズは一口で言えばラノベというより少女小説なんでしょうが、何ともハードな内容。フェミニズムを若い女の子達に叩き込むわよ!という作者の気合が十分感じとれるし、何より、女の人生は甘くない、という古今東西共通の真実がしっかりと描かれている。日本人男性作家の描く甘っちょろい少女、可愛いければ人生は上々!みたいな描写にはウンザリですからね。もう21世紀になって十年経つってのに、何考えてんの?と思ってしまう。その点、欧米のジュヴナイルはきちんとしているな、と羨ましくなる。ヴィクトリア朝ロンドンの混沌を少女の細腕一つで乗り切る、なんて非現実的な設定に真実味を与える為の様々な工夫も、痒いところに手が届く、といった感じで不自然さがない。我が国のラノベなら、そのあたりはキャラの魅力、とやらでお茶を濁すんだろうな。最終的にエノーラはどうなっていくのか、まさか白馬の王子様なんて輩が現れてめでたし、という最後にだけはならないに決まってるので、楽しみ。今、一番続きが気になるシリーズです。