(財)電力中央研究所によりまとめられた、エネルギープラント向けの耐震工学専門書です。内容は非常にコンパクトかつ濃厚で、地震工学から耐震工学までの基本的な内容を網羅しています。更に内容が実務的な点も良いでしょう。
特に原子力発電所向けの情報は豊富で、地震工学、耐震工学の観点から簡潔にまとめられている印象です。耐震工学では、設計用地震動の作成方法、地盤での増幅や相互作用その解析手法も解説されています。そして新技術である高速増殖炉の耐震設計、原子炉の浮体立地についても触れられている点は非常に好感がもてました。
今日、柏崎刈羽原発の地震被害により、原子力の耐震性については議論する場が増えています。地震を契機に危険だと叫ぶ人もいますが、それは現実的な主張ではありません。地球温暖化や資源高騰などのリスクがあり、原子力発電所増設は人類存続のための重要手段の一つになっています。このようなときに、エネルギープラントの技術者や研究者は、より進歩的な議論をしていかなくてはなりません。地震工学・耐震工学は自然相手であり、不確からしさと未知、更には想定外との戦いでもあります。
このためには正しい知識、とりわけ実務的な知見がすべての技術者や研究者に求められます。この本は技術者はもちろんのこと、大学等に所属する研究者にもお勧めです。