サスペンスというジャンルである以上最低限のつじつま合わせは必要だと思いますが、この作品はそんなことを気にしません。今巻もご多分に漏れず、矛盾のオンパレードです。(指摘は他のレビューを参照してください)
この作品の異常なまでの低レベルさには理由があります。(子供向けの週刊連載が、そのシステムゆえに、本格的サスペンスと相性がよくないのも原因の一つなのでしょうが、商品として売り出す以上その言い訳は通用しないので、ここではあえて触れないことにします。)
そもそも少年ジャンプは雑誌内でアンケートの票数を競い合うシステムになっています。よって、人気漫画との重複を避けたジャンルの作品が残りやすくなる傾向が生まれるのでしょうが、人気漫画が長期にわたって続いている以上、(ある作品においては社会現象とも言うべきブームを起こしています)読者の箸休め的作品が残りやすい環境にあるのは自明の理でしょう。何も考えずにその場その場の適当なノリで話を転がしているだけの「なんちゃってサスペンス」は、おそらく今のジャンプと相性がいいのです。
食事に例えると、人気漫画が豪華なおかずや主食の白飯だとするなら、エニグマは合成着色料満載の漬物です。濃いおかずに飽きた読者が箸休めにつまむ○○・・・といえばご理解いただけるでしょうか?
単行本として楽しむには、その作品だけでオードブルとして成立するのが理想だと思います。が、この作品は読んでいてもバランスが偏るだけでなにも得るものがありません。それだけならまだしも、人間の捉え方や状況の成り行き、感情の経緯においてなんの整合性もとられておらず、全てがその場限りの「ノリ」で描かれているため(これもアンケート制度の弊害と呼べるでしょうが)この表現に慣れてしまうと、読者は必ず読解力、論理的思考能力に支障をきたし、大げさに言えば、読者の低質化に繋がる事だって考えられるのです。
つまりは、少年ジャンプがエニグマのような低質な作品を残す環境にあるからこそ、読者が育たず、その読者のアンケートに振り回された少年誌、言うならば、漫画表現全体の低質化が進んでいるという事が出来るでしょう。この悪の循環に編集部は一刻もはやく気付くべきなのです。(もしかしたら気付いていて売っているのかもしれません。だとすれば、ジャンプ以外の雑誌も幅広く読む漫画ファンこそ、この状況に怒りの声を上げなければならないのかもしれません)
少年ジャンプは人気アンケートが全てです。つまりは、読者とともに作り上げる雑誌、読者参加型の雑誌と言い換える事が出来るでしょう。読者のいかなる声も受け入れなければならない体制を自らとっている故に、レビューなんて関係ない、ネットなんで見なくていい、では許されません。もし関係者がここをご覧になっていたら、必ず作者本人に、今のレビューの惨状を伝えるべきです。榊先生、気付いてください。あなたの漫画を読んで、読者は怒りの声を上げています!
一刻も早く打ち切るために、今この場で我々が出来る事は買わない事です。この作品が売れることは、漫画表現の低質化につながります。買わないでください。漫画ファンとしての切なる願いです。絶対にオススメしません。