エドガー・アラン・ポーについては、昔、少年雑誌の連載で江戸川乱歩がペンネームにその名を借用したことを知り、作品については「黒猫」や「アッシャー家の崩壊」を読んだ程度である。しかし、その印象的な肖像とともにポーを全く知らない日本人はまずいないであろう。
今年はポーの生誕200年に当るそうだ。日本には漱石をはじめとして昔からポーに関心をもつ人々が多かった。そしてポーの影響は文学のジャンルに限られず日本でも音楽、視覚芸術、サブカルチュアなどにも影響し、2007年には広いジャンルの人を集めて日本ポー協会が発足した。本書はその総集編ともいえるものである。
編者の八木敏雄氏の巻頭言によると21世紀は、ポーが遍在する時代―ユビキタス・ポーの世紀―でなるだろうという。確かに本書を読み終わってそんな気がしてきた。
19世紀のいわゆるアメリカン・ルネッサンスの時代、ポーはエマソン、ホーソン、メルヴィルなどと同時代人であるが、独特の文学を残した。わずか40年の生涯のなかから時代を越えて、かつ遠い日本にまで影響しているのを知ると驚嘆に値することであったと思う。
本書は、ポーの特異な生涯のから始まり、ポーと関係する各界の研究者などの論文集である。ポーに関心のある人に一読をお勧めする。知らなかったポーの面を知り、さらにポーに対する興味が湧いてくるだろう。