「神経衰弱ぎりぎりの女たち」に主演していたカルメン・マウラが貫禄たっぷりの体型となって出演したコメディです。かなりのブラックぶりですが、終盤では追いつ追われつのサスペンス映画となります。ヒッチコックの映画に「逃走迷路」という作品があります。その映画の終盤で展開される自由の女神をのぼりながらの死闘シーンを思い出しました。どうせB級スペイン映画だろうとたかをくくっていたのですが、なかなかどうして、手に汗握る面白さです。
原題は「La Comunidad(共同体)」といい、マドリードのあるアパートで長年暮らしてきた隣人たちのことを指しています。彼らの共同体へカルメン・マウラ演じる主人公がひょんなことから迷い込み、隣人たちの「長年の夢」を横取りしようとします。彼女はアパートの住民たちにとってはまさに「共同体」の秩序を乱す異分子です。そこで、「みんなのしあわせ」を考えて連帯してきた隣人たちは命を賭してこの侵食者を排除していこうとする。これが話の大筋です。
この映画が垣間見せる「共同体の掟を破る者には死の制裁を!」という論理は実は想像以上に私たちの身近にあるものです。外国人排斥やカルト宗教など、思い当たる出来事はその辺に転がっているのですから。
その意味では、意外と奥の深い娯楽映画だなという印象を持ちました。