「サクリファイス」の続編。ところどころ前作品の内容を匂わす箇所がありますが、それを気にしなければ独立した作品として読んでも差し支えないと思います。
今回は自転車競技の物語であってミステリーではないですね。
確かに前作のような展開を期待している読者には盛り上がりに欠け「エッ?これで終わり?」と感じられるかもしれませんが、私はスポーツの世界に的を絞って描いた今作もすっきりしていて悪くないと思います。登場人物たちが様々な葛藤を抱えて揺れ動きつつも、感情をむき出しにしたりぶつけあったりすることなく淡々と物語が進む感じも好みでした。
主人公・チカの人柄や競技者としての役割が、割と地味目なところがより一層この物語を興味深くしているのではないかな、とも思いました。表彰台に上がり華々しく振舞うスター選手の影にあるイロイロなドラマに改めて気づかされますよね。
大袈裟な言い方ですが、「サクリファイス」「エデン」の2作品を読まなければ、きっと私は自転車競技のなんたるやを全く知らないまま人生を終えたのではないかと思います。そういう意味でも、日々の生活には全く馴染みのない自転車競技の奥深い世界へ誘ってくれる貴重な作品と言えるでしょう。続編を希望します。