作品は、第4部で青春小説としての色合いを強めながら大団円へと向かう。
作者は冒頭で、物語はひとつしかない。すべての小説も詩歌も、人の内部で善と悪が際限なく戦いを続けていることから生まれると説く。作品はキャルはアロンそして、その父であるアダムとチャールズをとうして繰り返される善と悪、そして父と子の葛藤を描き、人の原罪とその重さを描こうとしている。
ただ一方で作者は、作品の中で、キャルはアロンそして恋人のアブラが作者の意図と関係なく自由に動き回るのをコントロールできてていないように感じられる。
このことが、文学作品として失敗作との刻印の理由になっているように思われる。
しかし、この結果、作中人物が実に生き生きとしており、小説の魅力は格段に上昇している様に感じられる。
同様のことは作品全体でしばしば起きており、リーがサミュエルが、そしてキャシーが、作者のコントロールを離れて作品全体で実に生き生きと勝手に動き回っているのだ。
文学としてはnoかもしれない、でも本を楽しみたい読者にはもちろんyesであろう。
おもちゃ箱のようにいろいろな要素がつまり、そしてなによりも魅力的な登場人物に出会える本書を、読書好きの人すべてに推薦します。
とても、楽しい時間を本書は必ずあなたに過ごさせてくれるはずです。