遺伝学の教科書の中の教科書として燦然と輝く Essential Genetics: A genomic perspective 第3版の邦訳です。
生物学の基礎中の基礎(高校入試レベル)から丁寧に説明しつつ,1990年代以降のNatureやCellに発表された新しい知見まで読者を導きます。全頁カラーで図解され,写真も多数なので眉間にしわを寄せないで読み進めることが出来ます。ぱらぱらと読んで知識を貯めながら,おっと思う話題で熟読する,そんな勉強スタイルがとれます。
そして,ところどころに挿入されている「ちょっと考えてみよう」がまた秀逸。
1918年ロシア最後の皇帝ニコライ二世と家族と従者が殺害され,埋められた。1991年遺体のDNA鑑定が行われた。図に示された遺伝子のバンドからニコライ二世と皇后を示せ。という具合のわくわくする問いが提示されています。
遺伝子やDNAという言葉がこれだけ勘違いされた形で使われてしまっている現在,きちんとした知識を身につけておくことは,ニセ科学に振り回されないためにも重要でしょう。
一家に1冊と言っても過言ではありません。
監訳者たちは教養学部以上の読者を想定していましたが,とても親切な説明ですので,高校生や生物学に興味がある中学生にもお勧めです。
全部を読み通さなくてもOKです。興味のあるところだけで。背伸びしたい年頃にこの本で格闘したら,後の大きな財産になることでしょう。また,大学受験で生物を選ぶ人には,問題のもとねたの宝庫として読めるのではないでしょうか。
お小遣いで買うには少し高めでしょうが,それだけの価値がある本です。