昨今、本国アメリカで一連のカバー・アルバムが、日本でいうと徳永英明の『VOCALIST』シリーズばりに売れ、アーティストとして新たな黄金期を迎えた感のあるバリー・マニロウ(まぁ、時系列でいくと「徳永英明のアルバムがバリーばりに売れ」、と言うべきか)。熱心なファンでなくとも長年の、あるいはかつてのポップス・ファンであれば、1970年代中盤から80年代前半にかけてトップ40ヒットを連発した彼のことは、いい想い出として残っているのではないだろうか。「ダサい」「甘ったるい」などと批判もあり、ネタにもされたが、音楽に対するバリーの誠実でひたむきな姿勢は決して聴き手を裏切ることなく、長い期間にわたって多くの感動を与え続けてくれたのだから。その軌跡をCD1枚にまとめろ、ということ自体、どだい無理な話であって、せめてこれぐらいのボリュームは必要なのだ。もちろんいくつか“抜け”はあるが、ヒット曲以外の重要な楽曲もうまく押さえてあり、これさえあれば、全米トップ40常連時代のバリーのおいしいところ、そのほとんどすべてを知ることができる。90年代に出たCDと比べると音質も向上しており、買い直しにもおすすめ。「恋はマジック」はシングル・バージョン。ディスク1の10、12、13はライブ・バージョン(13はショート・エディット)。「涙のラスト・レター」は、おそらく初登場の別ミックス。ラストの「秋風の恋」は、近作を先取りしたような96年のカバー・アルバム“Summer of '78”収録曲のリミックス(オリジナル・バージョンを入れて欲しかった…)。「フィーリング」は「うつろな想い」の邦題でも知られている。
歌詞・対訳、チャートデータ、東ひさゆき氏による解説つき。
なお、若き日のバリーをとらえたこのジャケット写真は、ハーブ・リッツの撮影によるものである。