別れた相手との記憶を消したい・・・。
離別の痛みを癒す手段は相手や深さによって違い、人それぞれ。その痛みをいつまでも引きずる事もあれば、勢いで別の相手と紛らわせることもある。傷心の隙を狙った駆け引きから始まるものもある。それがどの様な離別であっても、「いっそ記憶が消えてしまったら楽なのに・・・」と一度は考えるかもしれない。
共に過ごした歳月も長くなれば、きれい事だけではいかなくなる。嫌な部分も見えてくるし、またそれが愛おしくもなり。一度喧嘩を始めると、それが常になる事もある。次第に使う言葉の選択を誤り、本心で語り合うつもりが思ってもいない余計な尾びれを付け、深く傷つけてしまう。それはほんの一瞬の出来事であったりする。「あの時ああしていれば・・・」。記憶を消してしまえば楽なことはない。しかし全て消してしまえるだろうか。
いずれ薄れゆくものであっても、あの時の、時間が止まったかの様な瞬間だけは残したい。
自暴自棄になり記憶除去治療を受けるものの、脳内で必死に抵抗する。
複雑な設定を微妙な映像表現で処理しており、またパラドックス進行の構想が良い分、複雑で一瞬でも目を離すと意味が分からなくなるので注意が必要。
2度、3度と観ると良く出来ている事が分かる練りに練られた脚本。壮大で感動的な台詞ではなく、身近で誰にでも覚えのある言葉が並ぶ。
フィルムの粒子を積極的に出しており、好みの分かれる画質であるかもしれない。
質感・コントラストともに個人的には好みであるが、若干のムラは感じる。
非常に高いビットレートで推移しており、使用している素材の再現性は高いのだろう。
台詞部分を前面から押し出し、音楽をリアからとゆうサウンドもシンプルではあるがストーリーの邪魔をせず効果的。
観た後に不思議な清々しさが残り、忘却の湖へといざなわれる素敵な作品。