これまでのエス和辞典は小辞典で、充実した用例や語法注記は望むべくもなかった。これはそうした記載満載の本格的エスペラント学習辞典であり、しかも語彙数は大辞典級である。
語をそのまま引ける『エスペラント小辞典』(大学書林)と違い、こちらは語根見出しである。例えば bonveno(歓迎)は veni(来る)のところに載っている。当初とまどうかもしれないが、慣れれば大したことではない。
もちろん読むために引く辞書でもあるが、現在メールやチャットにエスペラントを使っている筆者にとって、これは何より書くために必須の辞書である。書くためならば和エス辞典と発想されるかもしれないが、じつはこの辞書を使ったほうが誤りの少ないエスペラント文を書ける。少なくとも和エス辞典で訳語を知ったら、この辞書で引き直して用法や用例を確かめたほうがいい。
例えばある動詞の後ろにくるのは名詞の対格か前置詞か、前置詞ならば何がくるのかといった情報が、文型表示や用例、語法注記の形で親切に示されている。コロケーション(語の結びつき)情報をもっと充実させるとよいと思うが、今でも大変ありがたい辞書である。
現在筆者は読解用(特にチャットなどとっさの反応が必要な場合)には『エスペラント小辞典』を、書くためにはこの辞書と(使う頻度はぐっと少ないが)『日本語エスペラント辞典』(JEI)を使っている。ただいずれも高い。まず一冊エスペラントの辞書をという方には、値段と情報の量・新しさの面から、この辞書をおすすめしたい。
ただ『小辞典』やのハンディさと語を分解せずに引ける利点も捨てがたい。もし初級学習や読解に特化されるのなら『小辞典』のみでもよいと思うが、書くことも含め本格的にエスペラントをおやりになるのなら『エスペラント日本語辞典』を持って損はないはずである。
最後に、この辞書はどういうわけか活字が大きい。「活字を小さくしてハンディになったら引きやすいだろうに」と思うのだが、一方で目を傷める心配がないのは利点といえよう。