仕事中などについうっかり、「環境問題に関心がある」などと発言すると、いまだに、「お金儲けに興味のない、良い人」のように思われることがある。我が国ではビジネスの第一線で活躍している人にも、今の世界で環境対応こそが最もHOTで最も激しいビジネス上の競争テーマだということが、十分に理解されていないのである。
また「日本の環境対応技術は大変優れていて、今も世界トップレベルの環境先進国だ。」と誤解している人は、これもまた意外なほど多い。彼らはかつて我が国が環境先進国だった時代の記憶のまま、この10年ばかり呑気に惰眠をむさぼっている、童話のウサギなのだろう。
本書はそのような、善良にして鈍感な“ウサギ”たちに衝撃を与える、世界と日本との環境対応の実態を取材したレポートである。環境対応を人々の善意や倫理の問題であると勘違いしている人は、世界のあちこちで既に、本書が「戦争」と名づけた激しく、厳しい競争が始まっていることを知って、少し焦った方が良いだろう。これからの世界では、環境対応こそがICTの発展以上に根本的に、経済や社会のルールを変えて行くのだし、もしこれ以上、その変化に立ち遅れてしまえば、我が国は政治面だけでなく経済面においても、再び二流国家・三流国家になり下がってしまう。既に世界は、そうした方向に動き始めているのだ。
日本が21世紀にも経済大国として世界に存在感を示し、国内においても現在の豊かな社会を守りたいと考えるのならば、我々にはもはや「環境保全か経済発展か」などという、呑気なテーマ設定で悩んでいる余裕はあるまい。民主党政権誕生の半年後というタイミングで上梓された本書が、政権交代の是非に揺れて、より本質的な時代の変化を見逃しがちになっている我が国の人々の目を覚ます、飛び切りけたたましい目覚まし時計となることを祈りたい。