日本生態学会主催の公開講演会(2010年3月20日)の講演をまとめたものです。一般の人の理解を助けるために、具体例に即して四つのケース・スタディ(アマモ場=海水生態系、湖沼や池=淡水生態系、里山=陸上生態系、エゾシカ管理=野生動物管理学)が述べられ、総説として「なぜ地球の生きものを守るのか」が置かれています。用語の言い換えや解説も丁寧で、各分野の素人でも基本は理解できるように配慮されています。やみくもに生物多様性を守れだの、生物多様性は重要だなどと頭ごなしに押し付けられても具体的な生きものから離れた生態学では読者の身につかず、やがてハガレ落ちてしまうことは自然保護の歴史があきらかにするところです。すみわける三種のアマモが一次生産量を豊かにしていること、浅く小さい池の集合が重要なこと、種によって生活が成り立つスケールが異なること、野生動物個体数にフィードバック管理という手法を導入することなど、大変面白く読みました。
このエコロジー講座はすでに3巻めですが、良い企画だと思います。