「エコカー」をキーワードとして、自動車と関連業界の現状および将来像に鋭く迫った1冊です。何よりも素晴らしいのは、著者自身が自分の足で集めたネタと、関係者に直接会ってインタビューした内容によって構成されていることです。著者の肌感覚が伝わってくるので、文章に迫力があります。一部ネットに発表したものの再録もあるようですが、1冊の書籍になっていることにより、全体像が分かりやすくまとまっています。著者の立ち位置は『買い換え需要を掘り起こすためだけの減税や補助金に、「エコ」という頭文字は相応しくない』というもの。本当の意味でのエコ実現による日本自動車業界再生を説いています。オバマ大統領の号令のもとに米ビッグスリーがどれほどの変貌を遂げつつあるか、一方、日本政府の戦略の無さのせいで国産自動車メーカーおよび部品メーカーがいかに無駄な競争をしているか、挙げ句の果てにアメリカ政府から開発補助金をもらう国産メーカーさえあるという事実。こうした事態に対して、著者は大いなる危機感を抱いており、そうした著者の思いがストレートに伝わってくる本です。惜しむべきは誤植の多さ。コストダウンのために校閲無しまたは素人校閲で仕上げたのでしょう。1文字の間違いで正反対の意味にしか取れない文になっているところも1ヶ所ありました。それでも、すべての自動車ファンにとって読む価値のある本になっていると、個人的には思います。