作者の名をご存知なら言わずもがなですが、現在アクションものを描かせたら最も実力ある作家のお一人でしょう。
今回の題材も教科書レベルの歴史を齧った程度ではとても描けない、深い歴史理解に基づき、かつ解説臭まったく無くエンタテイメント素材に生かしきっています。兵器や兵装の本格描写も余人を寄せ付けません。
よく出来た映画を1本観たような読後感です。
読んで気持ちいいのは、物語視点が徹底して個人の立場で貫かれ、微力を尽くして歴史に押し流されまいとする「人間」を描いているところでしょうか。
必然的に組織や国家との相克が多く描かれ、この辺りのスタンスは名作「ライカの帰還」辺りにも通じます(ライカよりはアクション主体な分エンタメ寄りですが)。
国家や組織間の戦争と言っても、戦うのは結局「個人」なんですよね、そういうミニマムなレベルに還元された「史劇」です。
一つ残念なのは、徹底して男臭い史劇なので、吉原氏の魅力ある美女ヒロインが見れないところか。(笑)
もっと活動の幅を広げて欲しいし、未収録作の単行本も出てくれればと思います。