2009年11月に出た本で、古川日出男氏と画家、ファッションデザイナー、ダンサー、ミュージシャン、脳科学者、文芸評論家、翻訳者など、さまざまな分野の人と対談したものをまとめたもの。
相手を記すと、PART1の音楽では、後藤正文氏(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、iLL氏(中村弘二)、坂本慎太郎氏(ゆらゆら帝国)。PART2では、黒田育世氏(ダンサー)、桑原直氏(ファッション・デザイナー)、大竹伸朗氏(画家)。PART3では、和合亮一氏(詩人)、岸本佐知子氏(翻訳家)、佐藤良明氏(アメリカ文学者)、茂木健一郎氏(脳科学者)、佐々木敦氏(批評家)。 と、よくもまぁ、ここまでいろいろな人を集めたなぁという感じ。古川氏の小説世界にとどまらない関心の幅の広さを感じるが、PART1、PART2では、私の関心の狭さから、知らない人が多くて、読むのに苦労した。しかし、私でも馴染みの多いPART3は、とても興味深く読めた。
和合氏との対談では、古川氏の故郷、福島と東京、地方と都市の文学的な問題について議論がなされ、古川氏の小説の根源が垣間見えたような気がした。
佐々木氏との対談では、古川氏が行う朗読という行為の持つ意味や、この本の出版当時の最新刊、『聖家族』についての議論が面白い。彼の朗読は、生で聞いたことはないけど、早稲田文学の付録で『聖家族』の朗読が収録されていたのを聞いたことがある。圧倒される。
一番、良かったのは、佐藤良明氏との対談。全く、偶然なんだけど、最近、トマス・ピンチョンの全集の出版が始まり、この対談でも取り上げられていた『逆光』も出版されたところ。たしかにピンチョンのような小説家はあまり日本では出てこないだろうけど、いるとしたら古川日出男だと思う。この対談を読んで、そう感じた。