SF好きの中学生ベン(イーサン・ホーク)は、ある晩、巨大な回路図の夢をみ
る。目を覚ました彼は、すぐさまその回路の図を描きとどめ、友人の科学オタ
ク、ウォルフガング(リヴァー・フェニックス)にその図を見せる。ウォルフガング
が、自分のパソコンで、その回路図を入力したところ、勝手にプログラムを始
め、謎の飛行球体が発生してしまう。ベンとウォルフガングは、新たな友人、
ダレン(ジェイソン・プレソン)も仲間に引き入れ、その球体の動力を利用して、
宇宙船を作ることにする!
ジョー・ダンテ監督が放ったジュヴナイル(児童)SFの佳作。前年の『
グレムリン [Blu-ray]』
の大ヒットがあっても、決してメジャーのメインストリームに身を投じず、こういっ
た小品(それも彼ならではのテイストで)に戻って来たというあたりが、いかに
もダンテらしい。後の名優、イーサン・ホークとリヴァー・フェニックスの映画初
出演作品としても知られる。VFXはILMが担当。
「この冒険は裏庭から始まる」というのが、本作公開時のキャッチ・コピーだっ
たが、本作は、まさに、「裏庭SF」とでも形容したくなる、ダンテ作品ならでは
の味と感触のささやかな佳作だ。『グレムリン』や『
スモール・ソルジャーズ 【ベスト・ライブラリー 1500円:ファミリー映画特集】 [DVD]』
同様、どこにでもある小さな町のごく普通の少年が、とてつもない騒動に巻き
込まれるというプロットはここでも健在。宇宙に行くという、いくらでもスケール
感を出せる話でも、決して大風呂敷を広げず、あくまで、主人公の日常生活
の小さな範囲と視点で話を進めるのが(その究極が、『
インナースペース [DVD]』
だろう)、ダンテ的裏庭SFの身上だ。
少年たちが、自分たちの手で廃棄物から宇宙船を作り上げる描写は、誰も
が少年期に体験する、秘密基地を作り上げるのにも似た冒険心とノスタルジ
アに溢れて微笑ましいし、宇宙に行ってからの細かいギャグ(多くのSF映画
やTV番組からの引用)の洪水と暴走には唖然としつつも笑わされてしまう。
このセンチメンタリズムと遊び心あるギャグの絶妙な配合こそが、ダンテ作
品の楽しさだろう。ダンテの少年の心が作品全体に宿っている。主演3人も、
等身大の少年という感じで、子役特有のいやらしさがないのが好感が持て
る。VFXは、今観るとチープな箇所(もっとも、ダンテの意図的な狙いも大き
いだろう)もあるが、却ってこの作品には相応しいのではないだろうか。
本DVDは、85年の作品ということで、新作のような鮮やかな色彩、シャープ
な輪郭の画質ではない。しかし、時代を考えれば良好といえるだろう(お金
をかければ、リマスターとより入念なレストアが出来るはずだが)。音声も明
瞭で、日本語吹替えも収録。特典には、劇場公開時に削除された2シーン
が収録。これだけ、細かいギャグと引用に溢れた作品なので、出来れば、
ダンテのコメンタリーが欲しかったところだ。
字幕は、戸田奈津子氏が担当して、健闘していると思うが、ダンテの広範な
オタク的引用の出典がわかっていないような翻訳も多々見られる。宇宙人
ワックが、初めて発する言葉” What’s Up, Doc?”を「トモダチのワ」などと翻
訳されたら、ルーニー・テューンズ・ファンのダンテは、立つ瀬がないだろう。