一昨年、札幌のあるミニシアターで予告のチラシを手にしたのですがタイトルを見ただけでKOされました。こんなのありか!ですよもう。紹介文を読む限りでもB級テイスト紛々ですし、その夜友人と思う存分話題にして楽しんだものです。そして先日、満を持してDVDにてやっと見ることかないました。期待に違わぬ大バカな内容で本当に満足。フランス映画というとお洒落でエスプリの効いた作品や難解で哲学的示唆に満ちた映画のイメージがあるのを大きく覆し、でたらめ放題&どぎついブラックユーモアにしびれます。ハリウッド的なギャグとは明らかに一線を画する爆発感があるんですよね。同じ仏の『地下鉄のザジ』の感じが一番近いと言えましょう。
それにしてもずっと前からエイリアンの襲来を予想していた宇宙服・バズーカー装備の老人といい、ワラで出来た人形を母親と称するレッド・ネック然とした農民といい、「どこからこういう発想が?」という設定が散りばめられていて、脳みそが沸騰する程のへんてこな展開に小賢しい我々の鑑識カテゴリーなぞは完全に打ちのめされます。最後のオチなんかもう唖然とするばかりで、改めて仏文化の重層性・奥深さに感じ入るのです。
目茶苦茶に作っている様に見える本作ですが、エイリアンとのCG合成も丁寧に作ってありますし、ヴァネッサ・パラディの楽曲も良い仕事がされていることが分かる本気作です。そもそもギャグは下手に感傷的になってしまうとベト付いて鼻につくことが多いですが、本作はドライにタフにひたすら突っ走りB.キートンの傑作を思わす出来上がりです。破天荒なものも計算があってこそ成立する、それが総合芸術である映画の本質です。見る人を選ぶと思いますが、好事家は必見の一作です。
〈追伸〉友人は公開初日に見に行って“ヴァネッサのたまご”をオマケでもらったそうです。今はペーパーウェイトにして使っているとのことですが、何かちょっと羨ましいなあ。