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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
成田美名子作品の最高傑作!?,
By たお (京都市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: エイリアン通り(ストリート) (第1巻) (白泉社文庫) (文庫)
成田は絵もうまいけど、ストーリイテラーとして、キャラや物語の設定・構成・展開のさせ方がうまい。ストーリイの骨格がしっかりしているので少々脱線気味に話しをすすめてもブレることがない。 シリアスなシーンとコミカルなシーンとのつなぎ方やバランスが絶妙で、とてもテンポのよい運びは読者を退屈させない。 アラブ某国の石油相にして次期首長候補(最終話で首長に)を父に持つ主人公シャール・イダニス・モルラロールを主人公に 彼を取り巻く人々との顛末を描いていく。 当時、米国映画エイリアンが流行っていたこともあっての題名とは思うが、 本歌取りで見事に成田流のドラマを構築しているのはさすが。 題名にだまされてはいけません。 "エイリアン"という概念をテーマに据えて、シャールたち"エイリアン同士"は本当の仲間になっていく。 最終話では、拉致されたシャール救出作戦の際に、切り札としてセレムが真顔で 「だいじょうぶ。これがあります」と取り出す「中国花火」、 そして花火をきっかけに「合図だ!」とのり込むジェルを中心とした仲間たち。 感動の場面だった。 最終話のこのシーンはとても印象的で、いちばん好きなシーンでもある。 シャールの生立ちは複雑で、今は亡き母親は元英国美人女優のシェリル・ドレイク。 彼は母から金髪碧眼と絶世の美貌を受け継ぐ(女の子以上に美人に化けたりする)。 そしてナイーヴな一面も...。 反首長派との権力争いなど、金髪で目立つシャールは生命の危険にさらされやすいのもあって、 舞台の中心は留学先のアメリカ西海岸。 頭脳明晰な彼は既に16歳にしてロスの大学生(スキップ)。 大富豪の子息であるシャールの邸宅には、執事以外にもいろいろな同居人や仲間たちが集まってくる。 ・執事/バトラー:シェリルの執事だったがそのままシャールに侍従。やさしく包容力あるナイスミドル。 ・同居人/川原翼(女):シャールに拾われてきた。自己を探求し確立していく。 ・同居人/ジェラール(通称ジェル):裏表ないストレートな性格。シャールの性格修正に彼の影響力は大きい。 ・シャールの家庭教師兼父の補佐(後に同居)/セレム:静かな中に強さを秘めた男。彼自身も成長し変わっていく。 ゲストキャラも含めて、その他にも魅力あるキャラクターたちが目白押し。 それぞれのキャラたちが、自分なりに成長し自分を確立していく過程が丁寧に描かれていてとてもおもしろい。 時に共感し、時に笑い、時に涙し、読者も自分について考えさせられる物語となっている。 セレムの「迷いのある者は木の下にゆけ」など、奥の深い台詞が散りばめられているのも魅力。 クライマックス、王位継承者として正式に名乗りを上げ王族の前に姿を表すシャール。 次代の首長を目指すシャールの力になることを、ひとりの親友としても誓うセレム。 父と同じく不偏不党のジャーナリストを目指すジェル。 自分を取り戻し家族の元へと帰る翼。 みんなバラバラになってしまうが、いつでもロスのシャール邸に集まることはできる。 普段一緒にいなくてもお互いの心の絆は出会った頃とは比べものにならないことを再認識するシャール。 心に残る素晴らしいエンディングだった。 各エピソード(ストリート)の題名が映画の題名をパロディにしたものになっていて、それもおもしろくて味わい深い。 現在入手できる文庫版で紹介していくと、 第1巻 1st.真夜中のカーボーイ 2st.アラビアより愛をこめて (番外編)ロスの魔法使い (予告編)エイリアン通り 解説:高千穂遙 第2巻 3st.夜ごとの魔女 4st.掠奪された1人の花嫁 シャール通信 解説:鈴木結女 第3巻 5st.鷹は舞いおりた 6st.親父が出てきた日 シャール通信 解説:波多野鷹 第4巻 7st.この家の鍵貸します 8st.翼よあれが郷里の灯だ (特別編)フィリシア シャール通信 解説:平井和正 本編のおもしろさは言うまでもないが、番外編「ロスの魔法使い」や「フィリシア」もハートウォーミングで素晴らしいエピソード。 ウルウルしてしまう。 ぜひ一度読んでいただきたい。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
名作をもう一度!,
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レビュー対象商品: エイリアン通り(ストリート) (第1巻) (白泉社文庫) (文庫)
最近でも、「Natural」「花よりも花の如く!」と素晴らしい作品描き続けている成田美名子さんの今から15年ぐらい前の作品です。成田さんの作品は「自分の居場所」がテーマの一つだと思うのですが、この作品にはこのテーマが明確に描かれていると思います。誰もが憧れる明晰な頭脳や美しい容姿も人が幸せになるための絶対的な根拠にはなり得ない。人は自分の居場所、それは自分の自分が頭が悪かろうと醜かろうと、立派な人間でなかろうと受け入れてくれる、何かを、誰かを求めていると思います。ちょうど、この作品を読んだのが、自分が高校生の頃で、こうしたことを考えていた時期だったので、余計に強くそのことを感じたように思います。今年になって十数年ぶりに文庫化されたこの作品を読み返す機会を得ることができました。今読み返すと、確かにまだテーマが十分にこなされておらず、前面に出過ぎている感もありましたが、あの当時、自分自身が抱えていた思いといったものも思い出され、また感動を新たにすることが出来ました。時を経て、もう一度、この作品を楽しむことが出来たことに感謝しています。
15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
マンガ史に残る傑作,
By カスタマー
レビュー対象商品: エイリアン通り(ストリート) (第1巻) (白泉社文庫) (文庫)
80年代前半に大ヒットした名作。金髪の美少年、天才、大金持ちでビバリーヒルズの豪邸に住んでいる、など主人公の造型はいかにも古くさいし、作品全体に漂うアメリカに対する盲目的な憧憬も、何というか、時代を感じさせる。が、そのような理由で本作を敬遠するのはあまりに勿体ない。この作品にはそれだけではない深みがあるからだ。他者に対する戸惑い、ぎこちなさ、孤独。それを自覚してなお他者と繋がろうとするいじらしさ。このような人物をここまで的確に、かつ魅力的に描ける漫画家は、成田美名子をおいてほかにない。何より、どの人物も品のよいところが素晴らしい。作品は、ひきこまれるストーリーとセンスの良いユーモアに包まれつつ、生きることの素晴らしさとかすかな悲しみをあぶり出していく。一人一人の心の中に深く入り込んで、微妙な心の襞を丁寧に描いていく。70年代から80年代初頭はテーマ性をたたえたマンガが次々と世に送り出された時代だが、その中でも本作は、人物の陰翳、ストーリーのオリジナリティ、絵柄の美しさ、過度に小難しくならないサービス精神、そしてバランスのよさで、群を抜く。
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