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が、そのような理由で本作を敬遠するのはあまりに勿体ない。この作品にはそれだけではない深みがあるからだ。他者に対する戸惑い、ぎこちなさ、孤独。それを自覚してなお他者と繋がろうとするいじらしさ。このような人物をここまで的確に、かつ魅力的に描ける漫画家は、成田美名子をおいてほかにない。何より、どの人物も品のよいところが素晴らしい。作品は、ひきこまれるストーリーとセンスの良いユーモアに包まれつつ、生きることの素晴らしさとかすかな悲しみをあぶり出していく。一人一人の心の中に深く入り込んで、微妙な心の襞を丁寧に描いていく。70年代から80年代初頭はテーマ性をたたえたマンガが次々と世に送り出された時代だが、その中でも本作は、人物の陰翳、ストーリーのオリジナリティ、絵柄の美しさ、過度に小難しくならないサービス精神、そしてバランスのよさで、群を抜く。
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