子ども向けで、しかもめちゃ古い(1967年初版)本であるにもかかわらず、心底感動してしまいました。
なぜ、リンカーンがあれほど米国民に尊敬されているのか、極めてよくわかりました。
リンカーンが政治家として活躍したのは、実質僅かに10年。
奴隷制度をめぐる南北の対立が抜き差しならなくなり米国分裂危機が深まったとき、彗星のように現れて、1860年に大統領に選ばれる。その僅か2年前にはイリノイ州の上院議員選に落選しているという一点だけを見ても、どれほど全国的に無名の人物であったかがわかります。そして同朋相戦う苦衷に満ちた南北戦争の艱難を指導し、その戦争の終結を見たとたん、暗殺されてしまいます。南軍が降伏した僅か5日後。
「天がこの国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした」(「龍馬がゆく」司馬遼太郎)
キリスト教徒であるアメリカ人であれば、リンカーンという大統領の存在そのものを「神のみわざ」「奇跡そのもの」と感じるのでしょう。「歴史の不思議」を感じさせてくれる本です。
リンカーン夫人との葛藤の話などもあり、むしろ大人が読むべき本なのかもしれません。