1000キロ以上離れた目的地へ数千円で飛んでしまう格安航空会社(LCC)。欧米はもちろん、遙かに経済発展が遅れた東南アジアでも、日本同様の経済システムを築いた韓国でも生まれているのに日本ではできない。本書は格安航空の誕生から収益構造、利用する上でのマイナス点も解説する。オンライン予約のみ、座席指定なし、機内無料サービス一切なし、座席きつきつ、運休時の振り替えなし、欠航多発、キャンセルなし、などなど色々あるが、それでも驚異的に安い。「自己責任だけど安い」ということだ。
日本の場合、税金や空港使用料が運行コストの3分の1以上を占める。エアアジアはなんと日系キャリアの5分の1の運行コストで飛んでいるのにも驚いた。同じ月に上梓された新書の
JAL崩壊 (文春新書)と併せて読むと、パイロットがハイヤーで出勤するJALに比べ、空港滞在を1分でも短縮させるために会長も客の荷出しを手伝うサウスウエスト、エアアジアの差たるや…チーム精神やコスト意識のかけらもないJALが今まで航空業界で生き残ってきたこと自体が日本の航空行政の保護主義を明瞭に示しているように思う。また、日系キャリアの成長期に威力を発揮した販売チャネル・拠点の多さが、停滞期、ネット時代の今、逆にネット移行やコストの点で足を引っ張りつつあるのもレコード、新聞、出版、銀行、生保などと似ているな、と思う。
このほか、前半ではメガキャリアのアライアンスの確立の経緯も書かれていて面白く読める。鹿児島へ行くのと、欧米に行く料金がさして変わらない航空行政は一体どこを向いて仕事をしているのか?しみじみ感じさせられる本だった。