数年前に一度鑑賞した際は特に作品的印象が薄かったのだが、後にゆっくり
見直した時、なかなかよく出来た作品だと感じた。
いわゆるホラーのカテゴリーに入るが、狼男という古典的な題材にも関わらず、
むしろドラマ性を強調した作品であると共に、M・ファイファー演じるローラとの
激しい愛が描かれている。
娯楽作品であっても社会風刺を効かせる演出が得意なマイク・ニコルズ監督なら
ではの作品だけあって、編集長の座を巡る争奪戦が織り込まれていたり、ストー
リーの随所に社会ドラマ的なスパイスをきかせてあるのが大きな特徴だ。
最近のVFXを多用したダイナミックな変身や超人的なパワーでの暴力・殺戮
シーンを期待すると恐らく当てが外れるだろう。全くないわけではないが。
もちろん野生が目覚め、視覚・聴覚・嗅覚といった五感が研ぎ澄まされていく様子
は、昔ながらの手法を用いているものの今では逆に新鮮ささえ感じる。
もともとJ・ニコルソンは素顔がそのまま狼男顔なので特殊メイクは不要だろうが、
私的にもファンであるファイファーの美しさと対比することで、そのまま美女と野獣
という構図が面白い。
冒頭の山道を走るクルマではねた狼に噛まれるシーンで後の展開が読めてしまう
が、予想を少しずつ裏切る形でストーリーが進行、特に終盤のオチは意外性が
あってニヤリとしてしまう。
公開当時は一部の評論家に酷評されたようだが、とにかく10年以上前に作られた
作品でありながら、今見ても全く違和感はなく、他の同種の作品とは一線を画し
ているといえよう。個人的にもこういう作品は好きなほうですね。