この単行本には内山まもる先生のインタビューが掲載されているのですが、その中で「(前略)もし「絶対」というものがあるとしたら、それは「死」以外にはないわけですから」…今となっては何とも言えない重みのある言葉になってしまいました。12月1日、内山先生が急逝されました。本書の帯に「追悼・内山まもる先生」とある以外は本書には全くそれについては触れられていません。出版日からタイミング的に帯にそう記するのがギリギリのことだったのでしょう。失われたものは余りにも大きく、未だにショックが私自身にも続いています。今はご冥福を祈り、残された作品を楽しませていただくことにしています。
本書は小学2年生、3年生に連載された1974年度の作品をまとめたものです。(思えばこの「小学3年生」の2012年3月号での休刊が発表されたのも内山先生の亡くなられた日と同じ12月1日でした)その筆は内山先生自身が「(ウルトラマンを描き続けていることで)少々疲れていたのかな」と回想されている割には相変わらず絶好調です。
「2年生」版ではレオと怪獣がオートバイで爆走!(等身大にあらず、巨大生物のまま!)にはテレビを逸脱したストーリーには慣れっこになっている目にも新鮮?な逸脱ぶり。おそらくテレビシリーズでは出来ないし、やっていれば完璧に「仮面ライダー」への迎合として、後世に汚点を残すものとなっていたでしょう。漫画だから「これもありだな」という見方もできます。でも子供の頃に一番のトラウマになったのは円盤生物シルバーブルーメに基地を襲撃されて、防衛隊全滅、。そこまではテレビと同じなのですがこの「小2」版ではなんとモロボシ・ダンがウルトラセブンに変身。最終兵器のミサイルを担いで円盤生物に特攻して死んでしまう!という、驚愕の展開もあります。今だったらこんな身勝手な展開は制作元が許してはくれないでしょうが当時は制作元からのクレームは一切なかった、と言うことで円谷プロもおおらかな時代があったのだなぁ、という貴重な作品でもあります。
「小学3年生」版では最終盤は完全オリジナルストーリーになっています。これはひょっとしてテレビシリーズ第4クールに置ける大きな路線変更を行う際(テレビシリーズでは防衛隊全滅後の円盤生物シリーズと言われるものになった)にストーリー原案のひとつとされた「地球上での描写を一切排し、人間は一切登場せずウルトラマンと怪獣による、宇宙を舞台にしたストーリー」というプロットがあったそうですが、ひょっとしたらこの「小3」版「レオ」がまさに「それ」だったのではないでしょうか?実現していたらどんなものになっていたか?でも当時の撮影技術と予算では「内山ワールド」のように華麗な世界を描くことは難しかったでしょう。
この「小3」版の最後2話はその後の「ザ・ウルトラマン」(アニメ版のことではない)に昇華していったのは間違いありません。換骨奪胎、と言いましょうか。4年間をかけて新たなるウルトラマンを作り上げた、と言っていいのではありませんか?今日制作される「ウルトラマン」の映画作品は映像技術の発達も相まって、内山作品の世界観を継承したものが作られていることにもそれが現れているのではないでしょうか?
是非多くの方に手にとっていただきたい、ノスタルジアばかりではない作品ですよ。