子どものころ、風邪をひいていた私に父が買ってきてくれた思い出の一冊です。ウルスリが、遠くはなれた山小屋までお祭りに持ってゆくすずを取りに行く・・・というお話しで、山小屋にたどり着くまでにどんどん日が暮れていってしまうのが何度読んでもハラハラでした。(芥川龍之介の「トロッコ」のような・・・)でも、自分が親になって読み返してみると、ウルスリの両親が帰ってこない息子を心配して、夜通し眠れずに待っている場面でじーんとしてしまいました。
絵は、その後のカリジェの絵本と比べると荒削りというか、力強く大胆な印象。でも、人物以外の描写も細かくて、ウルスリの家の外壁には(カリジェさん自身手がけていたという)壁画が描かれていたり、ドアのノッカーがかわいかったり・・・スイスの風土がこの絵を描かせたんだと強く感じます。絵・ストーリーとも奥深く、大人もこどもも楽しめるすばらしい絵本だと思います。