鮭の子供が、川に放流され、海で成長、再び故郷の川に戻り、そこで産卵、一生を終える映像は、よく放映されます。ウナギは、この鮭と逆の行程を旅します。海から川に上ってきた稚魚のシラスウナギは、川の生物を十分食べて10年前後で成熟、川を下り外洋に出て、故郷の海域で産卵、一生を終えます。謎だったその産卵場所を、広い海の中で突き止めた研究者達の話があり、そのひたむきさに感動を誘われます。ニホンウナギも、ヨーロッパウナギも大洋を何千キロも旅して、遠い海域で産卵していることが分かったそうです。
またそのウナギを人工養殖でふやすしている日本人の現状報告があり、まだ難しい点があるそうです。
本書の力点は、ウナギの資源減少問題です。減少の原因は、魚道を無視した河川改修とか、ウナギが棲息できない程の河川・湖沼の水質汚染など自然環境の破壊です。さらに別の原因は、稚魚が遡上するEU各国・日本・台湾・アメリカ・カナダなどの川で、シラスウナギが大量に乱獲されているためです。その稚魚は、中国に空輸され、そこで安い経費で大きく育てられ、蒲焼にまで加工されます。それを日本一国が輸入、ただただパクついているのです。輸入量が増えるほど販売単価は下がるし、安くなれば消費量は増え、それに供給するためにシラスウナギの乱獲が激しくなる。この悪循環の始まりは、我国民のウナギ大量消費です。われらの異常な食欲が原因なのは、マグロと同様ですが、資源管理機関があるマグロよりも、絶滅の危機はより深刻のようです。
なすべきは、昔の様にウナギを大切にしてありがたがって食べる気持ち、ムヤミに食べないこと。また身近な自然を思いやる気持ちで、ウナギが棲息できるように自然環境を元に戻す努力とのことです。
やさしい文で、気楽に読めます。初めにウナギの生息数グラフがあります。読後に、改めてそれを見ると、生息数0に向かう曲線の深刻さを感じます。