結成15周年となるPlastic Treeのニューアルバムだが、タイトルの「ウツセミ」(=空蝉)は、この世に生きている人間達、そしてその世界を表している。全体的にシックな印象を受けた本作の楽曲陣だが、前作の「ネガとポジ」で見せたエッジの鋭さに更なる磨きがかかっているようだ。リズム隊の溢れるような躍動感や所狭しと猛るギターサウンド、一変して、まるで重箱の隅をつつくほどに計算されたサウンドコラージュに、心地よいアコースティックの響き。従来の流れを汲みつつも、バンドサウンドとして、明らかに新境地に達した感がある。
新たなアレンジを加えられた「リプレイ」などで見せる、有村竜太朗の繊細なボーカリゼーションは健在だが、「テトリス」「GEKKO OVERHEAD」などアップテンポなナンバーでは、メロディラインも兼ね、従来の彼からは想像し難い男っぽいボーカリゼーションも聴かせてくれる。所々挿入されるSEは、アルバム全体の統一感を高め、さらに、ラストを締めくくる「記憶行き」では、おそらく「春咲センチメンタル」「ラストワルツ」以来となるピアノとのアンサンブルが楽しめる。創り込まれた音響に、どことなくポスト・ロックの兆しも垣間見える本作だが、聴けば聴くほど味が出てくる一枚であることは間違いない。
なお、特典DVDは、東京・浅草花やしきにて行われたサプライズ・ライブの演奏風景となっている。初のアンプラグド・ライブだが、「リプレイ」「スピカ」などのアコースティック・バージョンが楽しめる。