この本の本領というのは、「中学3年間の数学が120分でわかる!」点にあるのではなく、「創作の基本モデルが理解できる!」点にある、と思います。
だから、「こうやって理解するのか!」というより、「こうやって発想すればいいのか!」という驚きに出会うことの方が多かったです。
言ってしまえば、これ一冊で、大にして創作の、小にしてお笑い的な発想の、「基本モデル」を「装備」できるんではないでしょうか。
お笑い芸人のコントの発想には、
「取り合わせ」
が多いと思います。簡単に言ってしまえば、まったく違う(けど、相似性のある)二つの事柄を、同位相で(同じ事のように)語る、という手法です。
たとえば、インパルスならば、「手術」と「3分クッキング」を「取り合わせ」ていました。
大輪教授の場合、それが、「数学」と「お笑い」だった、と。
その目のつけどころが、すばらしくセンスのあるところだと思います。
なぜって、ある意味で、数学はシンプルな「モデル」ですから、なんでも「見立て」られます。ここまで多彩な、たとえ話や、シュチュエーションや、解釈が可能な「モデル」は、数学をおいて、他にないでしょう。
それがよくわかるのが、第一章の、太郎くんの成長過程と、数学の勉強過程の「取り合わせ」であって、これこそ、コントの基本モデルであり、「なるほど!」と膝頭を打つこと受けあいでしょう。
これは、言うなれば、「読者の本」ではなく、「表現者の本」でしょう。何かを作りたい。コントを作りたい。でも、どうやって「発想」したらいいのかわからない。
そんなとき、この本は、かなり役に立つんではないでしょうか。少なくとも、目が覚めますよ!