ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武という香港・中国映画の大スター3人が顔を合わせるのだから、もう少し話題になってもよかったと思うのだが、「レッドクリフ Part'U」の影に隠れたのか、劇場公開時はそれほど盛り上がらずに終わってしまった。しかし、この作品、ドラマという点では「レッドクリフ」を凌ぐ面白さと言っても過言ではない。
ジェット・リーは歳をとって表情や演技に貫禄と迫力が増してきた。ハリウッドに進出していた頃はまだ童顔で「少林寺」のイメージをぬぐい切れなかったが、最近の作品には年相応の落ち着いた雰囲気がある。この作品のパン将軍役では顔のシワまでもリアルにさらし、その時々の葛藤や苦悶が表情からしっかりと伝わってくるのだ。アンディ・ラウにしても、これまでのスマートな役柄とも違って、盗賊の首領というワイルドな役を好演。この2人がここまで「男の色気」を見せた作品はこれまでなかったのではないだろうか。3人の中で弟分を演じた金城武は、以前のような若々しい演技を見せて上手に登場人物のバランスをとっている。
3人が3人ともキャラクターをかぶらせることなく、それぞれの役柄をぶつけ合っており、結果としてキャスティングは大正解。安易に先を読ませたり、飽きさせたりすることもなく、うまくラストまで持って行く見応えのある展開。ハッピー・エンドとは言えないラストではあるが、なぜかほっとするところもあり、後味も悪くない。「レッドクリフ」の影に埋もれさせるにはあまりに惜しい傑作である。