まず、この本のほとんどは著者のウォール街の株式アナリストとしての回想に裂かれているので、「ライアーズ・ポーカー」のようなウォール街話につきもののブラックユーモア好きにおすすめできる。
しかし、他のウォール街告発本に比べて、この本のユニークな特長が2つある。1つは、リサーチアナリストを題材にしている点。新聞などでこの肩書きをよく目にすることはあっても、これがどういうものか経験者の主観的な意見を知りたい人には非常に得るところが大きいだろう。もう1つは、作品最終章で、著者のウォール街に対する見解が述べられている点。他の告発本のようにおもしろおかしい回想録で終わることなく、一体一連の騒動がどういう意味を持っているのかについて、各投資銀行のみならず金融の構造的な問題にまでこれを広げて語っているのは、金融に関わる方にはかなり興味深いのではないだろうか。
本著を読まれた方は、「Confessions of a Wall Street Analyst, Dan Reingold」(和訳は現在のところない模様)を読まれると、別のサイドから同じ物語が楽しめる。個人的にはこの「Wall Street Meat」の方が話のトーンが面白い。