映画館では見逃した。本ブルーレイ廉価版を本アマゾンで購入、即日鑑賞したので、レビューはゆめゆめ掲載いただきたい。
「モラル・ハザード」。日本では一般的にこの言葉は拝金主義の行き着いた「道徳の欠如」ととらえれている。ところが、本作を見ると、米国の金融界での使われ方は少し違うことがわかるので勉強になる。本作では、モラル・ハザードとは、金融機関が事業者にお金を貸しまくることを主に指している。主人公の母親(スーザン・サランドン演じる)が主人公にお金を無心に来る場面で、この主人公は母親を「それはモラル・ハザードにつながる」とたしなめる。母親は忠告を聞き入れたのか、昔の看護師の職業に戻って働くようになる。
この映画のメッセージはほぼ、ここの場面に集約されているように思う。つまりオリバー・ストーンは「真面目にコツコツ働け!」と言っているようだ。
それだけだと実につまらない映画にしかならないだろう。ところが、この映画の終幕ではシャボン玉(バブル)がゆらゆらと立ち上る場面で幕切れとなる。資本主義はある種、バブル(過熱)=したがってある種のモラル・ハザード=がなければ成り立たない面があるから、それを伝えたかったのかも知れないが、これは本作に決定的なあいまいさを残す結果となった。
本作に出ている登場人物が語るように、米国政府は現在、「金融機関に資本注入をしたりするなど、その権限と規制を拡大して社会主義化している」とストーン自身は本ブルーレイの特典でも批判している。米国の現在の金融バブルは、実は自由放任の行き過ぎの結果もたらされたものだから、この米国の政策は仕方がない面があるので、この批判はいかにも的外れである。
証券マンを父親に持ちながら、貧しい有色人種の青年ばかりが徴兵でベトナムに連れて行かれるのは許せないと言って自ら志願兵としてベトナム戦を経験したという正義派のストーンとしては、このジレンマはかなり苦渋に満ちた葛藤として本作のあいまいさとなって現れたのだと思う。
蛇足で個人的なことを書かせていただくと、本作の舞台となった2007年頃は、小子も正にサブプライム・ローン問題の取材に明け暮れていた。現在の欧州危機も、米国の景気低迷も、日本の長期円高もそこに端を発していて、いまだ解決策も見いだされていないことは言うまでもない。