レナード・バーンスタインが生み出した最高の音楽がこの『ウエスト・サイド物語』であるのは、万人の認めるところです。アメリカ人として最高の指揮者であり、偉大な作曲家が残した最大の功績は、人種差別をテーマにしたミュージカルを残したということでしょう。ジャズとクラシックとポップスを融合し、愛すべきナンバーを残しましたが、アメリカの闇に光を与え、彼の音楽とジェローム・ロビンズの踊りで生き生きと浮かび上がらせたこの映画は後世に残るステキな功績でした。サウンド・トラックを聞いているだけで映像が浮かんできます。
ユダヤ系アメリカ人のバーンスタインでなければ為し得なかった作品だと思います。プエルトリコ移民と、白人だけれどもイタリア移民(オリジナルはポーランド移民)の子孫の対立という人種の坩堝と呼ばれるアメリカ・ニューヨークのダウンタウンでの1950年代を生き生きと描いています。ロバート・ワイズ監督・製作のこの作品はアカデミーで全11部門を取りました。
「トゥナイト」「マリア」「アメリカ」「クール」「アイ・フィール・プリティ」「サムホエア」など愛してもやまない名曲揃いです。作曲家の力量の高さは質の違った音楽を的確にシーンごとに使い分け、音楽だけで登場人物の心情を明確に描き分けたことに表れています。
決闘前では様々なナンバーが入り乱れ、対位法的な手法を使いながら登場人物の心情を吐露させる音楽の質の高さこそバーンスタインの真骨頂でしょう。
若者の鬱屈した心情、閉塞感は現代日本にも通じるものがあります。だからこそ今、振りかえって眺める必要があります。
哀しいエンディングを描きながら、通奏低音として流れているのは愛の大切さで、込められている熱意は普遍性を持って輝いています。