ネットでの「炎上」または、サイバーカスケード(電脳空間における一方的・煽情的な情報の滝?)をテーマにしたIT評論とでもいうべき1冊。現実に騒ぎを巻き起こした炎上事件など、多数の具体例とそれらに対するメディア論的な解釈・解説が併記されていて、それなりに楽しく読めた。
よく分からなかったのは、打開策としての「アーキテクチャの構築」。それと、他のレビュアーも書いていたが、メディアの議題設定機能論(アジェンダ・セッティング)や「沈黙の螺旋」理論の援用は、ここでは妥当だったのか、という点。ネット社会は情報の「可視化」と「つながり」を強めた、という指摘はオーソドックスで、しかもネット空間における法や道徳の過剰、および実名公開主義を警戒するスタンスもノーマル。それだけに、細部に曖昧なところが窺えたのが、少し残念だった。