本書は、まず第 1 章で web ページに限らないレイアウトデザインの基礎を述べ、次の章で web ページならではのレイアウトデザインの技法を述べています。 さらに、以降の章では、各デバイス (PC, スマートフォン, タブレット) における web デザインの注意点や手法が述べられ、最後に、どんな環境でも使いやすい web サイトの作成方法が述べられています。
本書の全体にわたって繰り返し述べられていることは、「閲覧環境ごとのコンテキスト (例えば、スマートフォンで閲覧しているユーザーは、外に居る可能性が高い) を考え、どのコンテンツを目立たせるかを考える」 ということと、「閲覧デバイス固有の web ページを作る (例えば iPhone 用には iPhone 用のページを用意して、PC 用には PC 用のページを用意する) のではなくて、Media Queries などを用いることで、同じページを様々な解像度で利用しやすいようにデザインする」 ということです。 本書では 「アダプティブ・ウェブデザイン」 という言葉で紹介されていますが、その思想は非常に良いと思います。
しかし、レイアウトデザインに関して内容はほとんどありません (視線の動きを考えろ、とか、適切な余白を設定しろ、などといった基本的なことのみ) し、HTML や CSS の技術的な部分に関しても、最近の動向を紹介する程度で特に深みはありません。 残念ながら 「教科書」 を名乗れるほど十分な内容を含んでいるとは言えないでしょう。 本書全体の構成も微妙で、同じような内容が複数の場所に書かれていたりして、読みやすいとは言えません。
先にも述べたように思想的な部分だけは評価できますので、web デザインをする際にどういった方針でデザインするべきなのか、ということを学ぶには良いでしょう。