今となっては「当たり前」のことが述べられている、不朽の「古典」が文庫本として再刊されたことは非常に嬉しいです。
新しい学問とは具体的にこのように考えて創り上げてゆくものなのだ、という具体的な理路を豊富に示した画期的な著書でした。
この本の内容があまりに普及して、現在では「当たり前のことばかり書いてある」状況になっていますが、
これから通信・制御・生態系に関する学問に志す人達には、今読んでも、非常に示唆に富んでいると思います。
ただ、最後の社会学者による「解説」は文字通りの蛇足に感じます。
元本の良さを紹介するに適切でないばかりか、本書の歴史的評価を「訳の分からない混乱」に誘っている感さえ否めません。
このような視点からの解説ではなく、
「文庫本あとがき」にある「予想の当否を過去半世紀にわたる生理学の進歩の結果を踏まえて吟味」する視点からの解説であれば、
読者の理解を大いに高めたのではないでしょうか。残念な解説になってしまったような気がします。
なお、古典名著の文庫化という意味では、飛田武幸『ブラウン運動』なども岩波書店に御検討頂けないものかと思います。