ウィンダム公爵夫人(現ウィンダム公爵の祖母)と公爵夫人のコンパニオンのグレースは、ある舞踏会の帰り道で追いはぎに襲われる。
2人は無傷で解放されるが、ベルグレーヴ城に帰った公爵夫人が突拍子もないことを言い出した。
「あの追いはぎは、29年前に亡くなった次男のジョンにそっくりだ。彼の息子に違いない」と。
それが事実なら、彼は公爵夫人の孫で、現ウィンダム公爵トーマスの従兄弟。
さらに、もし彼が次男の嫡出子なら、三男を父親に持つトーマスより爵位の継承順位は上、彼こそが“本当のウィンダム公爵”ということになってしまうが…。
『ウィンダム公爵と美しき義賊』と『ウィンダム公爵とつれない許嫁』は、“本当のウィンダム公爵”と“現在のウィンダム公爵”にまつわる
一連の大騒動をそれぞれ違う視点で描いた物語です。
『ウィンダム公爵と美しき義賊』は“本当のウィンダム公爵”かもしれない義賊ジャック・オードリーと、公爵夫人のコンパニオンのグレースに
視点を合わせて描かれています。
運命的に出会い、互いにひと目で心惹かれたジャックとグレース。
そこに、ジャックが“本当のウィンダム公爵”かもしれない、という疑惑が浮上。
グレースと“現在のウィンダム公爵”トーマスとの間にはある種の友情があり、ジャックに恋することはトーマスへの裏切りに感じられ、気がとがめるグレース。
ジャック、グレース、トーマスの微妙な三角関係(?)に、“未来のウィンダム公爵夫人”として育てられたアメリアの存在も絡み、恋のゆくえは前途多難。
さらに、ジャックとトーマスの祖母の公爵夫人という特大の障害が!
次男ジョンのみを溺愛し、他の人間は一切愛さない、自己中心主義のばあさんが事態をさらにひっかきまわし、もう大変。
ジャックとグレースは愛を貫くことができるのか、最後の最後まで気がもめる展開になっています。
わたしはトーマスびいきなのでジャックには点が辛くなりがちですが、それでもラスト100ページのジャックは素敵だと思いました。
それまでの笑顔とユーモアで女性を魅了するジャックではなく、弱さと迷いを抱えながらも自らの愛に忠実であろうとしてあがくジャックを
本当にイイ男だと思いました。
ジュリア・クインらしく明るく楽しくユーモアにあふれた物語。
設定は結構シリアスなはずなのに、登場人物がそれぞれ個性的でいきいきとしているので、読んでいてついにやにやしてしまいます。
“現在のウィンダム公爵”トーマスの運命や彼がグレースやジャックのことを本当はどう思っていたのかを知りたい方は
『ウィンダム公爵とつれない許嫁』をご覧ください。
『ウィンダム公爵とつれない許嫁』を読んだ後に『ウィンダム公爵と美しき義賊』を再読すると、さらにいろいろなことが腑に落ち、楽しめます。
ちなみに、2冊セットならば評価は★5です。