ビジネス書としては、エクセレントカンパニーや第三の波、などと並ぶレベルの名著として残るのではないでしょうか。
ただし、従来のビジネス書とこの本が大きく異なるのは、人生観に左右される要素が大きいと思います。
特許権、著作権、知的財産と権利ばかりを主張し、50年でも70年でもあぐらをかこうとする会社。はたまた、知的財産を秘密にし、特許すら出さない(そういう会社でも他人の論文は読みまくるんでしょうけれど)ことにした会社もあります。
そういう動きをつきつめると、学問とか人類共通の知恵といったものはどうなるのか?このままでいいのか? と感じたことはありませんか。
ウィキノミクスとはそういう人類の知恵は共有物と考える人々に支えられていて、従来の権利を主張しなくても「分かち合うことで生きていける」と確信している人々の動きなように感じました。そのマグニチュードはとても大きく、古いタイプのビジネスと互角にやっていけていると、この本は事実の積み重ねで証明しているように思います。たとえば、人のDNAを解読し著作権を主張する会社が新聞をにぎわせていたことをご記憶の方も多いでしょう。それが今どうして共有されるようになったか、知ることができます。
ウィキノミクスでは知を共有しながらビジネスを展開していく点こそが最も経験と知恵が必要な部分であり、ひとつひとつの事例が参考になります。そういう観点で読まないと同じような話の繰り返しに読めてしまうかも知れません。それでは大切な知恵を取りこぼします。
資源は有限ですが、知恵は無限であり、共有することで次々と新しいことができていく世界を私はすばらしい、と感動をもって読了しました。
でも、自分が考えたものは他人の影響よりも自分だけのものだ、秘密にしておきたいしひと儲けしたい、と考える人もやはりいるでしょう。
どちらの道が好きか、でこの本の評価は大きく異なるでしょうね。