他の方も仰っているように、ミュージカル版の「Wicked」をすでにご覧になっていて、
しかもそこに描かれているエルファバや世界観が好きという方にはお薦めいたしません。
ミュージカル版のエルファバは、観客にとって魅力のある心優しいヒロインですが、
この小説に出てくるエルファバは、私利私欲もある、もっと人間味溢れる普通の女性です。
本当なら手に入れられたかもしれない幸せを、その不器用さの為に掴み損ねてしまい、
そのままズルズルと不幸という名の泥沼にはまっていく彼女の姿はあまりにも切なく、涙を誘います。
また、ミュージカルはフレミング監督の映画版「オズの魔法使い」のお伽の国のイメージを強く残していますが、
この小説のオズの国はもっとドロドロとした世界で、子供の頃に思い描いた夢の国ではありません。
しかし、あのファンタジーからよくぞここまで物語を展開させたものだと驚かずにはいられません。
ミュージカルの原作と思わず、オズの世界を借りたまったく別のお話として読むのが良いと思います。
“普通の女性がなぜ悪い魔女になったか”だけをテーマとして読むと、とても面白いと思います。
もしくは、先に原作を読んでからミュージカルをご覧になるというのも良いと思います。
原作の悲劇の女性エルファバへの切ない気持ちが、ミュージカルを見て癒されるかもしれませんから。
もしかしたら、ミュージカルの脚本家も原作のエルファバを救いたくて、あのようなストーリーに変えたのかもしれませんね。