本書で一番驚かされるのは、現代の民主主義にインディアンの教えが強く影響しているという事実であろう。「受容」「平等」などの8つの教えを紹介する章では、アメリカ合衆国成立の際にインディアンの社会制度が大きく取り入れられていたことも明かされる。彼らが11世紀ごろ樹立した国家は完全な民主制をとっており、言論の自由、連邦制も存在していた。それが米国建国の立役者であるフランクリンらに多大な影響を与えたというのだ。
もちろん本書はインディアンの自然と調和する、あるがままを受け入れ他者を傷つけない生き方にも触れている。それは経済の発展など物質的なものを重視するあまり、精神面の豊かさを軽んじる傾向のある現代社会にとって、別の方向性を示す貴重な哲学といえるだろう。いや、何も社会のことには限らない。「知識は知恵に勝てない」「奇跡は自分の中にある」など本書に登場するインディアンの警句の数々は、日常生活に行き詰まりを感じた人々の心にも響くだろう。本書には心を癒すという「祈り」CDも付いているので、そちらに耳を傾けリラックスした時間を演出することもできる。(工藤 渉)
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天外さんと衛藤さんの共著だが、アメリカ・インディアンに学ぶというものである。今までにもインディアンのことを扱う著書はたくさんあったと思うが、最初に衛藤は「足りないものがある」と認めている。それは日本を知らないということである。
外国に学ぶ前に、自らの文化を知らなければ他に学んでもあまり意味が無いというのは実際そうだと思う。かつてモンタナ州に1年間いたときに自分は日本についてあまりにも知らないと感じた。日本を知り、文化を知ってこそ、初めて異文化交流をしていく意味がある、それには共感する。生まれ育った町や血が知っている日本のDNAをもう一度見直して、それからもう一度海外に出向き!たい、そう考えたくなる1冊である。
中でもインディアンの言葉がシンプルで分かりやすい。インディアンには現代の日本で忘れられようとしている自然への感謝、地域との結びつき、年配の方への尊敬など、文明の存続に重要な儀式・思想を重要視している。
1.あらゆるものがつながっている。私たちがこの命の織物を織ったのではない。私たちはその中の一本にしか過ぎないのだ。
2.お年寄りと子どもたちを離している文化は長続きしないどころか、いずれ滅びる。なぜなら、お年よりは私たちの過去をつくってくれた存在だし、子どもたちは私たちの未来を担う存在だからだ。現代というのは、過去と未来をつなげるためのつなぎのようなものに過ぎない。
3.すべての人が必要もないのに人と同じものを持ちたがるから、母なる大地は傷ついていく。やがて訪れる大浄化の前に、人々はそのことに気付かなければならない。
4.地球が破壊される寸前、人種も信仰も肌の色も異なる「虹の戦士たち」が世界中に現れて、人類を正しい方向に指導して大地を再び緑に潤し、「浄化の期間」を乗り切っていく-。
5.創造主ワカンタンカに始まり、スピリット、祖先、太陽、月、大地、石、水そして地球に存在するすべての生き物に感謝することが、インディアンの主な祈りです。
本書の次にオーストラリアのアボリジニーを書いた「ミュータント・メッセージ」を次に必ず読んで欲しい。
では、私たちはどうすればこころの平安を取り戻せるのでしょうか。
そのキーワードは「つながり感」にあるように思います。
この本は、インディアンの生活や彼らの伝統儀式に込められた世界観を通じて、私たちが本当は切り離された存在ではなく、実は「大いなる存在」である自然に愛され守られている存在であることに気づかせてくれます。
このことは、私たちのこころを癒し、力づけると同時に、未来の社会をより良く生きるために必要なこととは何なのかを考えていくうえでも、大きな支えとなるものです。
読む人のこころに、そんな「つながり感」を取り戻してくれる一冊です。
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