本作はバドカン唯一のライヴDVD。オリジナル・メンバーはポール・ロジャース(vo)とサイモン・カーク(ds)というフリー出身者のみだが、結成から四半世紀以上経過したのに、衰えを知らない見事な演奏を堪能できる。後のクィーンとの共演等で健在ぶりを印象づけたポールは熱唱でバンドを引っ張るが、その土台を支えるサイモンのプレイが圧巻。ギターのデイヴ・コールウェルはミック・ラルフスの弟子だそうだが、感情を搾り出すようなプレイでミックの代役以上の活躍。ベースのジャズ・ロックリーはポールのソロ作にも参加していた人で、黙々とリズムを刻む。ボズ・バレルは元来ベーシストではなかったから、ジャズの方がある意味華がある。この4人がバドカンの主要曲とフリーの定番2曲を次々に披露するのだから、バドカン・ファンの人は会場の聴衆同様盛り上がらないはずがない。
なお、同名のCDとは収録曲が異なる。グッド・ラヴィン・ゴーン・バッド、シーガル、ウィッシング・ウェル、ラン・ウィズ・ザ・パックはこのDVDでしか聞けないからDVDの方を買うべきだろう。本編は17曲収録だが、最後のジョー・ファビュラスだけはスタジオ・ビデオ。したがってライヴは16曲。そのトリが私の大好きなシューティング・スター。Q+PRや今年発売のライヴ・イン・グラスゴーでも採り上げられなかったこの大名曲の、会場が一体となった合唱を含む演奏が視聴できるので、私にとって本作は永遠の宝物となった。ボーナス映像では、バックステージの様子も人柄が出て面白いが、特に演奏者4人+α(グレン・ヒューズ等)へのインタビューが興味深い。フリーとバドカン、ポールとサイモンの存在の大きさへの賞賛に満ちている。また、演奏者は互いに敬意を持って接しており、この時の4人は最良のチームだったと言えよう。