その昔、FMでこのアルバムがまるまるオンエアされたことがあった。1曲目の Holy Landの美しさはどうだろう!受験生だった当時の精神状態に、この曲や2曲目のInvitationがばっちりはまってしまったのだった。その時は、演奏者やアルバムタイトルがジャズ初心者の自分にはわからなかった。
エアチェックしたカセットテープ、それも、確かノーマルテープを、文字通り擦り切れる(伸びる)まで聴いたものだった。アドリブのフレーズもすべて覚えてしまった。
そのうち、日本版のLPレコード(当時は版権の関係か、紫と白を基調とした奇妙なデザインのジャケットだった)、そしてオリジナル仕様の輸入盤を手に入れたときの感動は忘れない!針を落として、スクラッチノイズとともに流れてくるイントロに涙したものだった。まさに、僕にとって唯一無二、至高のアルバムである。そして、それ以来○十年にわたって、本格的にジャズにはまるきっかけになった作品である。
クリアーで自然な録音で、ピアノの音もたいへんよい。ベースやドラムとのバランスもすばらしい。特に、スネアのふるえ?のような音やハイハットの繊細な響きも、CDでよりリアリティが増した。レコードは擦り切れたので、CDの登場はありがたい。いったい、何枚持っていることやら。
チャーリー・パーカーやスタン・ゲッツとの共演など、バップ時代から活躍していたピアニストで、一時ニューヨークあたりのラウンジなどで糊口をしのいでいたそうだが、突如この神懸かり的なアルバムを吹き込んだのだった。
当時、特に日本中心に人気が出たようで、たくさんのアルバムをリリースしたが、これを超える作品はない。今はなき、EAST WINDという日本のレーベルの「チェルシー・ブリッジ」ぐらいではないか。
当時、幻の名盤扱いされていた「Al Haig Today!」にしても、INVITATIONを聴いた後では、歴史的価値しか感じないのである。
そういう意味では、これを超えるアルバムに出会えていない現状も認めざるを得ないのである。
確かに、バド・パウエル、ビル・エヴァンスなどメジャーなジャズピアニストのような脚光を浴びないピアニストの一人ではある。しかし、ジャズの歴史に残る珠玉のアルバムをリリースしたピアニストとして、長く記憶にとどめておくべきジャズプレーヤーの一人であることは認めてよいだろう。