本書は、インド社会において「ヒジュラ」として差別される女性の肉声と写真で綴られる。
昔、学校の先生がある写真家を紹介してくれた。
「写真家の使命は乗り物のようなものだ。タクシーが人を運ぶように、私は写真で現実を運ぶ」
写真である人の人生が運ばれる。キャプションで状況が伝えられる。そこに書き込まれた言葉である人の人生が説明される。
本書は、ある特定の社会と状況のなかで生きるある特定の女性の話。
私はそれにどれほどのリアリティをもって理解できたかは分からないけれど、確かに同じ時間を生きている人。
これが結びつくことの意味とはなんだろうか。
どのように結びついたのだろうか。
ある特定の人の人生を超えて、本で語られる誰かの人生と語ることに関わった人々とそれを読んだ私の関係を考えさせられた。
ここに描かれる一つ一つの言葉と写真もさることながら、トピックを超えて、本とは何か、人生を語るとは何か、「素顔」とは何か、人生を語るに関わるとはどういうことか、そしてその本とその本のクレジットとは誰のものなのか。
最後に、ちょっとだけ泣いてしまった。「彼女」の語られる人生を聞いてしまった私とは―。