飛行機事故で両親を亡くしたベトナムの王族の娘カミーユは、ゴム農園を引き継いだエリアーヌ(C・ドヌーブ)に育てられる。
エリアーヌを実母同様に慕うカミーユ、しかしフランス軍人バティストの出現をきっかけに二人の運命の歯車は軋み始める。
一世紀に及ぶフランスの植民地支配、その悪夢から目覚め蜂起するベトナムの人々、旅の途中で軍人を射殺しバティストとともに逃亡の旅をするカミーユ、旅芸人一座を装う革命グループにかくまわれていた二人は相次いで捕えられ、、、。
数年後の恩赦、出獄、今やベトナムのジャンヌ・ダルクとして伝説的存在となったカミーユに、もはやエリアーヌと共に暮らすという選択肢は無かった。
一人息子エティエンヌの将来を託し、決然と刑務所を後にするカミーユ、、、。
軍法会議が待つフランス帰国前、一日だけの保釈の日にエリアーヌとエティエンヌに別れを告げにきたバティストを待ちうける謀略、、、。
時を経てカミーユはフランスとの講和のためにジュネーブを訪れた。南北に分断されながらも、ベトナムにアメリカとの戦争前夜のつかの間の均衡が訪れる。
エリアーヌは立派に成長したエティエンヌをカミーユに引き合わせるためジュネーブを尋ねるが、葛藤の末エティエンヌは息子の名乗りをあげることなくその場を去る。
私の母はあなた(エリアーヌ)だ。と、、、
養母への気遣いとともに、実の母の立場をも気遣った大人の選択だった。
美しい東南アジアの大地と多島海を舞台に、時代のうねりのように畳み掛けてくる壮大な物語、マルグリット・デュラスの小説を思わせる華麗でエキセントリックな脚本はC・ドヌーブのために書かれたオリジナルである。
彼女の完璧以上の演技についてはコメントの必要がない。
フランス海軍将校ジャン=バティストを演じるヴァンサン・ペレーズの燃え立つように激しい目線、公募で選ばれたカミーユ役リン・ガン・ファンの清と凛、出奔した恋人たちの行方を追ってサスペンスフルな追跡を見せるカステラーニ刑事役カルロ・ブラント(旅芸人一座に目星をつけ「モリエール作戦」と称するなどフランスらしいユーモアも)、いずれ劣らぬ熱演が映画の濃密さを高めている。