紀行本は本当に当たり外れが大きくて、中には「なら日本から出るな」
と言いたくなるような物もある。それから、ホテル紹介物に多い「金掛けました。
私、詳しいです」自慢な物。他には「これだけ安く上げました。凄いでしょ」
という貧乏自慢。あー、そう。としか言いようがなく、また男性作家に
多いのに、この貧乏自慢に訳の分からない自己憐憫が加算されて、読んでる方が
つい「じゃあ旅なんかせんでもよかろうに」と空しくなる物。ご夫婦旅物でも「よく離婚
しませんね、アナタがた……」と変な心配をしたくなる物もあり、全く油断がならん。
そんな中で、赤裸々にケンカやらもめごとやら、お子さんの足手纏いさ加減やら、
全部描いてあって全く不快でない本作はミラクルです。面白く、読んで楽しいばかりで。
彼の地のおクスリ系ダークな面も、その他の危機も、スレスレ切り抜けていて応援したくなる。
やっぱプライベートを板に乗せて描く物って、ご本人の魅力が物をいうのでしょうねえ。
こことは違う天地で人に塗れて、いろんな事を見聞きしたい。明るく前向きな旅人姿勢に共感です。
今回は過去の同三巻の延長、新ネタ採録的な部分が殆どでしたが、それもたいそう面白かったのですが、
最後に描かれた最近の旅の、また、ここから新たな旅が始まる気配にワクワクです。次巻を心よりお待ちしています。