今や俳優としてもすっかり大物扱いのショーン・ペンがブルース・スプリングスティーンの「ハイウェイ・パトロールマン」に触発されて撮りあげた初監督作品。
というよりは、どこにいようとはみ出さざるを得ない弟の狂気をプレLOTR時代のヴィゴ・モーテンセンが繊細に演じて深い印象を与えていた作品、というべきだろう。
今回発売になった理由もその辺にあるのだろうが、初めて見たときから、この映画がそれほど話題にならなかったのが不思議なほどにずっと心に残っていた。ひとつの短篇小説のように、時々取り出して見たくなるような映画としてずっと記憶に残っていた。
物語は意外なほど静かに淡々と進んでいくが、兄夫婦を除くと登場人物のほとんどはヘンテコな人々のように描かれている。その中で、はみだし者の弟フランクは英雄のように美しい人物のように見えるのだが、誰もが理解し感情移入できるような人物像ではないのだし、話の展開も納得がいくようには進まない。
単純に感動の名作などにはなっていないので、万人向けの映画ではないだろう。
それでも、力強い作品であることは確かだし、ヴィゴの演技はたとえLOTRがなかったとしても素晴らしいものとして記憶されるべきだと思う(余談だが、ベニチオ・デル・トロがほんの一瞬登場するし、他のキャストもなかなかに豪華な面々が揃っている)。