陰影に富む登場人物たちと洒脱さ溢れる29の挿話が、読者をして「インテリジェンス」の本質について考えさせてくれる一書。あなたはどの掌編が気に入るだろうか。(それにしても、手嶋氏が「カジノ狂」(18頁、125頁)であったとは知りませんでした。)
(日本の官僚組織では)「忙しく立ち働くことのみが多とされ、ひとり怜悧に事態を観察し分析する者の役割はときに軽視される。この国では流した汗と費やした時間の総量が発言力の大きさを規定する」(114頁)。
「インテリジェンスとは、単なる諜報ではなく、極秘の情報でもない。雑多なインフォメーションの海から選り抜かれ、分析を重ねたインテリジェンスは、国家の命運を委ねられた者が未知の航海に出ていく指針となる。・・・・・・ 彼らの網膜にはすでに新しい時代が映し出されていたのだ」(194〜5頁)。
「歴史の地平を切り拓くのは凡百の知識などではない。内なるインテリジェンスの叡知にほかならない」(196頁)。
以前、氏の講演を聞いたことがあるが、早くからオバマ政権の誕生を予見するものであった。インテリジェンスの伝道者としての氏の活躍にますます期待したい。