名古屋工大岩田研のメンバが研究成果を基に書き下ろしたもの。題名に「暗号化技術」とあり、実際に暗号そのものを概説した章もあるが、むしろ暗号の利用技術に関する本と考えた方が良い。その代表がPKI(公開鍵基盤)とSSL(暗号化通信、OSIのセッション層に当たる)である。
PKIの章では、鍵の管理の重要性の説明から始まり、CA(認証局)の概念の説明、そこで発行されるX.509証明書の内容も紹介される。私はX.509証明書から公開鍵を抜き出す関数を作った事があるが、本書の説明が役に立った(実際のコーディングにはX.509証明書の物理的構造を記した別の資料が必要)。SSLの章では、本書の刊行当時としては珍しくプロトコルの詳細が豊富な図と共に解説され、まるで詳細仕様者が書かれているようで実装をする際、大いに役に立った。
冒頭で述べたように、本書は研究室で実際にモノを作った経験に基づいて書かれているので非常に実践的である。PKI, SSLに代表される今日の暗号を利用した基盤技術に携わる方にはお勧めの一冊。