本書は、そのニューエコノミーの本質を解明することで、アメリカ経済が迎えている新しい局面や、今後の景気動向を読み解こうとした注目の論考である。主張の根幹になっているのは、ニューエコノミーはテクノロジー革新と金融革命によって主導されるという点である。インターネットテクノロジーの革新により、湧出した新事業のアイデアと、そこに素早く巨額な資金を供給するベンチャーキャピタリストの金融市場形成。著者はこの2点から、加速度的な経済成長を可能にした要因を分析していく。
注目は、このニューエコノミーの特質が、景気下降局面でも同様に働くと論じた点である。著者は、景気下降の速度、段階、各産業や諸外国への影響などをつぶさに検証しながら、そこから脱出する方策を見いだそうとしている。「インターネット不況」後、エネルギー関連イノベーションやバイオテクノロジー分野で、ニューエコノミーの好循環を期待しているのは、非常に示唆的である。
「先進工業経済が、高成長経済に転じるための最良の方法」として著者が示すニューエコノミーの本質に、日本経済の今後の方向性が読み取れるかもしれない。(棚上 勉)
米国では情報技術(IT)の発展に加え、ベンチャーキャピタルの存在、新規株式公開、ストックオプション(自社株購入権)などのシステムが、ニューエコノミーの発展を支えてきた。これらの要素はITを中心とする分野で様々なイノベーションを生み出し、非常に速く、長期に経済を成長させる効果があった。一方、不確実性とリスクも著しく高く、景気の下降局面においてはより長期的に、広範な影響をもたらすことになる。
著者は次の好景気はエネルギーやバイオテクノロジー、輸送、保健医療など、新しい分野のイノベーション起動によって主導されると予測する。
(日経ビジネス 2001/09/03 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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アメリカ的進歩主義者の描く悲観論?,
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レビュー対象商品: インターネット不況 (単行本)
本書の著者、マイケル・J・マンデル氏は、インターネット不況がやってくると主張していることをもって「悲観論者」と位置付けられている。しかしながら「ニュー・エコノミー」を信じ、擁護しようとしている点において、彼をアメリカ的・進歩主義的・楽観論者だと位置付けることも可能だ。本書においてマンデル氏は、ニュー・エコノミーが米国の経済フローを全く変貌せしめたと主張する。マンデル氏の主張する、オールド・エコノミーとニュー・エコノミーを画するものは何か。単純に言えば、「リスクマネー」の存在。ニュー・エコノミーはリスクマネーの広がりと一緒になって成長してきた。もちろんオールド・エコノミーにおいても、株式市場などからの資金獲得はあった。しかしいわゆるドット・コム企業のように、リスクマネー市場と企業の存立が完全に一体になることはなかった。 ニュー・エコノミーを、このように分析した上で、マンデル氏はニュー・エコノミーを擁護する。インターネット不況の中、このニュー・エコノミーを擁護することが経済政策として重要だとする。文末においても氏は、「われわれの子孫に対するわれわれの義務は、リスクを取ることであり、その境界を広げることであり」と語る。見ようによってはやや古めかしくもある「フロンティア・スピリット」の発露と受け取ることができよう。 本書はこのような氏の信念に基づき、ニュー・エコノミーのもたらす不況に対して如何にに対処すべきかをまとめたものだ。私自身、マンデル氏の言うニュー・エコノミーを擁護する必要性は全く感じないのだが、それでも本書は非常に興味深い1冊ではある。
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